2013年 02月 25日
旭川市博物館の学芸(研究)主幹瀬川拓郎さんの著書だ。 アイヌ研究のうちで、正面から語られなかった、小人伝説であるコロポックルに科学的な視点で切り込んだ研究である。 コロポックルは、各地のアイヌ伝説に登場するが、時にはアイヌと戦争する種族(日高)として描かれたり、阿寒ではアイヌがコロポックルの女の人を家にひきいれたらコロポックルは、怒って二度と食べ物をくれなくなったと伝承されている。 私は、コロポックルが低身長でことばを発しない、極端なシャイ。そして特徴的に部落の外に蕗の下の住人と描かれていることに着目していた。 つまり、アイヌであるが集落に入らない訳があると解釈していたのである。 差別、自らの意思による離反、病気、もしくは遺伝などである。 本書では、小人伝説は伝説の形成過程に 付け加えられた事情だと解説している。 そして近世アイヌと和人の交易がきわめて重要かつ活発であったがゆえに、その実態をカムフラージュする必要性があったり神秘性を演出する過程で形成されたモチーフなのだと書いている。 つまり、コロポックルはお伽噺でも後世の観光資源でも何でもなく、きわめて現実的な政治的需要もしくは経済的理由による、大人の考えたイメージそのものであると結論されている。 これだけ膨大な資料文献を示したコロポックル研究はこれまでなかった。 新典社新書800円+税
by kotendesky
| 2013-02-25 16:45
| 冗舌亭日乗
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