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(ときどき)個展deスカイ!

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2010年 02月 21日

マチエールを通して絵を考える

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マチエールに凝っている。
キャンバスにアクリル系の下地を作って、5,6割はアクリルで描いている。
コラージュを組み合わせることが多くなったので堅牢な下地が必要だからだ。
そのため、キャンバスもアクリル系のものを使っているが、より薄いキャンバスが
必要な場合はフナオカの油性キャンバスA30を使う。
この場合、アクリル不可と規定されているので、クリアジェッソをナイフで
目地に食い込むように下地を作り、その上に半乾きでジェッソを施す。
これが第一次だ。
つぎに、自分のもとめている下地を作るが、最近は木工用ボンドと漆喰を
組み合わせてしっとりとした下地を作っている。
剥離を完全に防止するためにグロスバーニッシュやグロスメディウムで
薄くカバリングする。

着彩は最初はアクリルで目処をつけ、半分くらいから油彩に移行する。
やはり油彩の乾燥速度が自分に合っているからだ。
油彩の絵の具の方が自分の色を表現しやすい。

たとえば、最近の寒気の冬空を表現するには「木嶋ブルー」と呼んでいる
くすんだバジターブルーあるいはコンポーズブルーとグレーと薄いイエローオーカー系の
色彩の重なりが必要だ。
これはグラッシとパートという技法を組み合わせる必要がある。
それなしに重厚な木嶋ブルーにはなり得ない。
グラッシは簡単に言えば透明色のおツユ描き。パートはパテ描きである。
実際は少し複雑に混色もするのだが、これは各自で研究するものだ。

この数年は下地を追求してきたので下地についてはある程度自信を持っている。
絵を表現するには下地の研究抜きには語れないと思う。
油彩画の雰囲気を左右するのは7,8割は下地だとさえ思う。

お手軽に何でも手に入る時代だが、身近な素材を駆使して下地を自分のスタイルに
合わせて支配するのはそう簡単なものではない。
毎日少しずつ繰り返して初めて手にできるものである。
根気と辛抱という、造形の基本が理解できない人にはよい絵は絶対に描けないと
断言できる。
その意味でも造形という分野をライフワークにした人は何らかの確信を持っているに違いない。
人生において自信と確信を持っている人は時代の変化に無理に合わせる必要がないだけに
気持ちに余裕が感じられる。

by kotendesky | 2010-02-21 00:20 | (七転八倒)制作記!


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