2008年 10月 09日

自分の世界…

『これからも自分の世界を大切に書いて行きたい』

30年ほど前の芥川賞受賞作家の言葉だ。
授賞パーティーで一線級の作家に紹介され、
『頑張りなさいよ』
とお誉めの言葉をいただいた中で
『ふーん、そんなものあるんかねえ』
とある大家に言われて、ギクリとしたという話だ。

けっこう、これは心の中に突き刺さって記憶になった。

自分が作家のはしくれとなって、言えることは
『自分の表現があるのかを探すことをしたい。一生掛けても…』
と思う。

作家は表現の生き物だ。ごく一部の才能ある作家を別にすると
ほとんどは先達作家のまねをして、自分の中で消化しあらたな表現に昇華して行く。
この道程をたどることが一般的だ。しばしば師匠や目標とする先人の表現を借り着して
人前に出て行く。
それはイカン事だと考えながらも、自分の表現の旅の途中には必要な模倣だ。

よく、「人まねでない自分の絵を描こうと思う」という。それはもちろん正論だけれど
自分の世界を確立するまでは非常に長い道のりを要することは言うまでもない。

『少なくとも自分の世界を狭めるようなことをしないでおこうと思います』と言いたい。
あらゆる可能性を経験として獲得することも便法ではあるけれど
魅力的な行為であると思う。
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by kotendesky | 2008-10-09 00:08 | (七転八倒)制作記!


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