2012年 01月 27日

静かな時間のながれ

 去年の4月に円山動物園の近くにある事務所に異動になった。
 じつはこの場所は二十年くらい前に、転勤の意向を打診されていた。当時は研究したいテーマがたくさんあって、他の機関と共同で進めていたプロジェクトもあり、とても職場を移ると云う状況ではなく勘弁してもらっていた。
 定年まで三年を切ったのでそろそろだろうと云う意味か、機構改革に伴って良い環境を与えられた。
 円山の環境は、周囲が北海道神宮の山だということですこぶる良い。サラリーマン生活の最後をこうした時間のながれに置いてみるのも心身のために良いことだろう。

 きょうは、日本一だと思うお蕎麦を昼食にいただいた。事務所から車で五分以内にあるのだが、この9か月はなかなか来られなかったものだ。どうも病院時代の気ぜわしさが抜け切れていなかったのだろう。
 いつも連れと一緒なので『おひとり様』で訪れるのは初めてである。おかみさんの『おや』という気持ちが伝わる。かれこれ6、7年は通っているだろう。いつも座る場所が決まっている。
「きょうは奥様と一緒じゃないのですね」というようなことはむこうからは云わない。
 こうした気配りも含めてやはり、何年も通う価値のある店なのだ。

 ふんわりとしたとろろイモのかかった『やまかけ』を啜ったあとゆっくりと持参した本を読みながら蕎麦湯をいただく。充実した30分の昼食のなんと贅沢な時間だろう。
 これからは億劫がらずにたびたび来ようと思う。
店主とおかみさんのあたかな笑顔に見送られて、幸せなサラリーマン生活だなぁと、しみじみ感じた次第だ。

 同じ時間を同じように生きていても、ありがたいと思える自分が大層幸福な人生を歩んできたことを最近つくづく感じている。
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by kotendesky | 2012-01-27 21:36 | 冗舌亭日乗


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