2011年 03月 02日

昨今のアクリル絵の具の事情③

アクリル絵の具は、言ってしまえばボンドのような接着剤に絵の具の顔料が混ざっているものだ。
顔料はすべて合成樹脂顔料であり、環境に負荷をかけにくい。
そのため、顔料そのものの輝きや持ち味では美しい画面は作れないので、様々なメディウムを
駆使することで表現を幅広くする必要がある。

アクリル絵の具はアクリリック・ポリマー・エマルジョン。
接着剤のボンドは酢酸ビニルエマルジョンである。
エマルジョンというのは水で溶ける状態すなわち鹸濁(けんだく)のことを言う。
水分を乾燥させれば本来の樹脂状態となり水をはじく。
ただし、酢酸ビニルは若干の水分重合がある。(つまり戻ること)

鹸濁(けんだく)の鹸は石鹸の鹸で油と水をエマルジョン状態にしているからである。
これも完全に乾かすとなかなか溶けない。
長い間放置されていたカラカラの石鹸を使おうと思ってもうまく溶けないことはよく経験する。

アクリルは乾燥すると水に溶けないとよく言われるが、リキテックスのグロスポリマーメディウムや
グロスバーニッシュは若干のというか化学屋の認識としては相当の水吸収がある。
そのため、乾燥後に加筆したり上描きに水性絵の具を使うときは便利なメディウムである。

これらは、上描きに油彩を施しても違和感なく描ける。
細かいことを言えばアクリルに油彩を重ねるのは御法度と言われるかもしれないが、
実際にはそれを行っている作家は多い。
むしろ、油彩の顔料の輝きを重ねることで美しい絵肌を作り込めるので、
作品は上品な仕上がりになる。

ともあれ、アクリルを自在に使いこなすにはある程度メディウムの使い分けが必要だと言うことを
押さえておく必要がある。
最近の美大ではこの知識を教えないようだが困ったことである。
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by kotendesky | 2011-03-02 23:42 | (七転八倒)制作記!


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